
<はじめに>
「就業規則を作ったのはかなり昔で、それ以来変更したこともなく、そろそろ見直したい。」
「会社が大きくなり、人が増えたことで、就業トラブルも増えてきたので、
今の自社に合った就業規則に刷新したい。」
…等々、就業規則の見直しに関するご相談を受けることが多くあります。
創業以来、会社の成長を追って日々の業務や経営に専念されて来られる中で、
どうしても、土台部分の就業規則の整備を置き去りにしてきてしまい、労働トラブルが起きてから
「そういえばずっと見直していない…」と、就業規則の見直しの必要性に直面する企業様も多いです。
今回のグログでは、タイトル通り、近年トラブルが急増している、退 職 規 定 について、
【定年退職に関する整備のポイント】をお伝え致します。
尚、実際に就業規則の見直しをする際は、それぞれの会社に合わせて何万通りの項目を念入りに吟味する必要がありますので、 現時点での御社の就業規則と照らし合わせて頂いて、見直しをする必要性を感じて頂いた場合は、
どうぞお気軽にご連絡ください。
定年退職とは、定年を迎えることで退職となることです。
2013年4月1日施行の「改正高年齢者雇用安定法」により定年が60歳から65歳に引き上げられています。
企業は、
①65歳までの定年引上げ
②65歳までの継続雇用制度の導入
③定年制の廃止
の、いずれかの措置を行う必要があり、就業規則を改定する必要があります。
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①65歳までの定年引上げ
定年年齢を65歳以上に引き上げて、従業員に長く働いてもらうようにする制度です。
従業員には、正規雇用者として安心して働き続けてもらうことができます。
定年を65歳まで引き上げると、当然多くの人が65歳まで勤めることになります。
一方で、社内に高年齢の従業員が増えると、仕事における世代交代のタイミングが難しくなり、若い世代のモチベーションが削がれるおそれもあります。
したがって、定年を引き上げる上では、状況に応じて業務内容や給与体系を見直すこと、役職定年を設ける、
などの細かな規定を就業規則に記載する対策が効果的です。
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②65歳まで継続雇用制度をつくる
継続雇用制度とは「雇用している高年齢者について、本人が希望した場合に、定年後も引き続き雇用を確保する制度」で、「再雇用制度」と「勤務延長制度」に分かれます。
「再雇用制度」
・・・再雇用制度は、定年を迎えた従業員を一度退職させ、改めて再雇用することで雇用期間を延長する制度です。再雇用の際に、勤務時間や勤務日数などの労働条件を変えることができます。
一般的に多いのは、正規雇用従業員を60歳で定年として、その後は65歳まで1年契約の有期雇用を更新していく方法です。(嘱託社員とよばれる雇用形態になります。)
「勤務延長制度」
・・・勤務延長制度は、定年を迎えた従業員を退職させず、そのまま継続雇用する制度です。
労働時間や賃金等の労働条件も大きくは変わらず、退職金は勤務延長期間が終了して退職するまで支給されません。高度な専門性が必要な業務など、後任を確保しにくい場合を想定して設けられた制度です。
現在では、再雇用制度を取り入れている企業が多いです。
再雇用制度における雇用形態や労働条件の取り決め方など、就業規則に明記する必要があります。
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③定年制を廃止する
定年を廃止し、従業員が自ら退職するまで雇用し続ける制度です。
従業員は長い期間現役で働きたいとモチベーションが上がるメリットが期待される一方で、
加齢に伴う身体能力の衰えにより就業が厳しくなるなどの可能性も生じます。
不当に高年齢労働者を解雇できないため、高年齢労働者の就労条件や業務内容、給与体系については、
あらかじめ就業規則に記載する必要あります。
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ここまで、定年退職に関する整備のポイントをお伝えしてきました。
いかがでしたでしょうか?
是非、御社の就業規則と照らし合わせて頂いて、見直しをする必要性を感じて頂いた場合は、
どうぞお気軽にご連絡いただければと思います。
後回しになってしまいがちな就業規則の見直しですが、早い対応をすることで、
トラブルを未然に防ぐことが可能となります。
経験豊富な弁護士が、迅速にサポート致しますので、気になることがございましたら、
些細なことであっても是非ご相談下さい。
※用語おさらい※
【再雇用制度】
定年を迎えた従業員を一度、定年退職させ、改めて再雇用をする制度です。
再雇用の際に、労働条件(勤務時間や給与体系など)を変更することができます。
退職金があるときは、再雇用の雇用契約が結ばれていても定年退職後のタイミングに支給します。
【勤務延長制度】
定年になった従業員を退職させず、継続して雇用し続けます。
労働条件(勤務時間や給与体系など)は原則変更しません。
退職金があるときは、勤務延長期間が終了したタイミングに支給します。
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